□ クラトスカ,P・H『日本占領下のマラヤ 1941-1945』(今井敬子 訳)
日本軍政の四十四か月。社会的、経済的視野のもとに、膨大な資料の検索をへて全マラヤを俯瞰する。これまでの歴史書にない視点を持つ本書は、東南アジアにおける日本占領統治研究に大いに資するものとなろう。
〈内容〉1. 戦前のマラヤ/2. 占領の開始/3. 日本のマラヤ統治/4. 民族政策/5. 教育と宣伝工作/6. 経済/7. 通貨と銀行業務/8. 大農園と鉱業/9. 配給と食糧生産/10. 占領の終了/11. 戦後
〔2005年8月、A5判上製、470頁、本体3000円〕
□ 戴天昭『台湾 法的地位の史的研究』
国境を越えた熾烈な「二レベル・ゲーム」の核心。――東アジア古代史に見え隠れする美麗島(フォルモサ)、台湾。近代になって大陸との葛藤が続く島、台湾。この島の国際法上の地位はどう変遷してきたのか。著者畢生の大作。
〔2005年12月、A5判上製、804頁、本体5000円〕
□ 小林宏・島善高・原田一明 編『渡邊廉吉日記 付渡邊廉吉伝〈覆刻〉』
ウィーン大学で碩学シュタインに就き、その国家学に学んだ渡邊は、やがて伊藤博文に認められて、明治憲法制定の大業にかかわり、井上毅に重用され、牧野伸顕と親しむことになる。すでに巷間に名高い「米百俵」物語がもたらした感動の行方は、渡邉廉吉の生涯にひとつの結実をみるだろう。憲政・行政史上の第一級史料。
〔2004年3月、A5判箱入上製、全2巻、540頁[日記]、320頁[伝]、本体14000円〕
□ 戴天昭『台湾 戦後国際政治史』
何が「問題」なのか。膨大な資料に基づき20世紀戦後台湾の真実を活写。沈潜30年、憂国の書ついに全一巻となる。「だれも決して台湾人を代弁することはできない」(著者)。
〔2001年2月、A5判上製、796頁、品切〕
□ 常深康裕『スーパーテクノロジー――世界を変えたネットワークとシステムの興亡』
帆船、蒸気機関、自動車、航空機、コンピュータ――「超技術」こそが、市場を拡大させ万人を商人に変える契機となった。その発現は国家の命運を左右し、歴史を牽引する。
〈内容〉1. グローバル・ネットの戦慄/2. 鉄の機関とメカニカル・ネットの衝撃/3. 鉄の中の機関とオープン・ネットワークの波紋/4. 石の機関とコンピュータ・ネット
〔2001年1月、A5判上製、472頁、品切〕
□ 梶浦浩『縄文人の遺産――アイヌ語からみた地名と和語』
相模、東(関東)、三河、加賀、播磨、香川、佐賀、薩摩などの大型地名はアイヌ語にその起源を持つ――列島を縦断するアイヌの影。未踏の地名解読によってはじめて浮かび上がる古代日本の壮大な原風景。
〔1993年8月、A5判上製、332頁、本体3000円〕
□ 鈴木亀二『近世質屋史談〈増補〉』
江戸幕藩体制下の庶民の暮しは、質屋の存在を抜きにして語ることはできない。本書は前著『近世質屋史稿』で「老翁が昔話でもするような…」(朝日新聞)と評された著者の近世質屋再考である。残存する史料断片を解きほぐす丹念な作業は、良質の推理小説を読む興奮を覚えさせるが、それは実際に質屋を営む著者が編み出した、長年の体験に裏打ちされた平明な文体の、一種の魔術であるのかもしれない。
〔1986年12月、A5判上製、432頁、品切〕
□ 遠矢浩規『利通暗殺――紀尾井町事件の基礎的研究』
大久保利通の暗殺を主題とした著作は、本書が唯一最初のものである。多くの未刊史料を使って、密度の濃い、水準以上の出来ばえとなった。著者は弱冠(22歳)、驚くべき卒論の単行本化。若き気迫が6人の刺客をよみがえらせる。
〈内容〉序 維新と金沢/1. 島田一郎と長連豪/2. 暗殺計画/3. 事件前夜の大久保/4. 5月14日/5. 葬儀/6. 裁判と処刑/7. それから
〔1986年6月、四六判上製、264頁、品切〕
□ 福地源一郎(桜痴)『懐往事談』(中野文平衛 校訂・補説)
開港延期談判、カラフト境界談判、生麦事件――山積する難題に呻吟する幕臣の群。同時代資料からの証言による詳細な補説(約250頁)を加えて、浮かび上がる痛哭の幕府衰亡史。すでに評価の定まった名著の新組みなる。
〔1985年5月、A5判上製、486頁、品切〕
□ 原輝史 編『大学改革の先駆者 橘静二』
大正六年早稲田「大学改革」運動の本質にかかわり続けた男の、醇乎激烈の精神と生涯。自叙「早稲田を去る」(190頁)および「プロテスタンツ原案」(90頁)一挙収録。
〔1984年11月、A5判上製、378頁、品切〕
□ 鈴木亀二『近世質屋史稿』
質屋を営む著者は、その平易な語り口によって、近世(江戸時代)の庶民の息吹を活写した。法制、経済、風俗史上未踏の分野に益するところ大と言わねばならない。
〔1984年4月、A5判上製、380頁、品切〕